【2022年版】中小製造業が海外進出するべき3つの理由

公開

徳山 正康 by 徳山 正康

この記事の執筆者

テクノポート株式会社 代表

徳山 正康

徳山 正康

製造業専門のデジタルマーケティング事業を手がけるテクノポートの代表を務める。「技術の“伝わらない”をマーケティングで解決する」を経営理念に、これまでに数名の町工場から東証プライム市場に上場しているメーカーまで、累計1,200社を超える製造業を支援し、数多くの企業の新市場開拓や技術の用途開発を実現。

グロービス経営大学院(MBA)卒業、(社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 フェロー、(社)Reboot 理事、(社)Glocal Solutions Japan 認定専門家

【寄稿実績】
間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(MONOist)
精密板金企業が「Webでの引き合い」を売上につなげることができた、たった一つの理由(ビジネス+IT)
製造業のSEO対策を基礎から解説、「加工事例」が超重要なワケとは(ビジネス+IT)
製造業の「技術マーケティング」戦略、事例で読み解く自社技術の可能性を広げる方法(ビジネス+IT)

テクノポート株式会社の徳山です。
弊社ではBtoB製造業向け「海外向けWebマーケティング」サービスを提供しています。

本記事は、下記の内容を解説します。

▶︎ 海外の製造業の拠点数の推移(2020年版)
▶︎ 製造業が海外進出するべき3つの理由
▶︎ 海外進出のメリット、デメリット
▶︎ 日本企業の海外進出国

なお本記事で使用するデータは、すべて参考文献へのリンクを記載しています。ご自身でデータの内容を確認したい方は、ご参照ください。

海外Webマーケティング

海外の製造業の拠点数

まず、海外進出する製造業の数を調査した結果を紹介します。

海外の製造業の拠点数の推移

下のグラフは、外務省の「海外在留邦人数統計」のデータを用いて、海外の日本の製造業企業の拠点数を地域別にまとめたグラフです。


データ引用元:統計表一覧(令和2年(2020年)以前)|外務省

こちらのグラフを見ると、どの地域においても製造業企業の拠点数は増え続けていることが確認できます。この結果から、製造業企業の海外進出への機運は年々高まっていることが予想されます。

海外の拠点数の年成長率の推移

下の図は、それぞれの地域の拠点数の年成長率の推移を表すグラフです。


データ引用元:統計表一覧(令和2年(2020年)以前)|外務省

こちらのグラフを見ると、2018年から2019年にかけて大洋州(オーストラリア大陸、ニュージーランドを含む14か国)に進出する企業の成長率が、大きく伸びていることが確認できます。(具体的な要因までは特定できませんでした)

製造業企業の拠点数の割合(2020年10月時点)

また、下の図は、2020年10月時点の地域別の製造業企業の拠点数の割合を示したグラフです。


データ引用元:統計表一覧(令和2年(2020年)以前)|外務省

こちらのグラフを見ると、海外の日本企業の拠点の約6割がアジアに位置していることがわかります。次に北米、ヨーロッパの順に拠点数が多くなっていることが確認できます。

それぞれの地域の市場の特徴は、こちらを参照してください。

製造業が海外進出するべき3つの理由

まず、製造業が海外進出するべき3つの理由から解説します。

①日本市場の縮小

日本経済は縮小傾向にあり、日本企業への海外進出の必要性は年々高まっています。国際貿易投資研究所の資料(※1)によると、日本の実質GDP成長率が2021年以降マイナスに転じる予想がされています。

少子高齢化の影響により労働人口は減少が続いており、将来若い労働力不足に直面する企業が増加すると予想されています。(現在一人当たりの労働生産性が向上しているため、大きな問題になっていない)

統計局の調査(産業別就業者数の推移(※2))によると、製造業の労働人口も減少傾向が続いており、海外に労働力を求めて進出するケースも増加すると予想されます。

参考資料

※1 2035 年に向かって縮小する日本経済
※2 労働力調査 (基本集計)

②新興国の急成長

新興国の企業が急成長しており、世界中のあらゆる産業で競争が激化しています。それに伴い、世界中の企業が国内のみではなく、世界のシェアを獲得する必要性が高まっています。

競争が激化している産業の代表的な例として、スマートフォン分野(※3)が挙げられます。特に中国の低価格かつ高品質なスマートフォンブランド(例:ファーウェイ(Huawei)、シャオミ(Xiaomi)、オッポ(OPPO))は、新興国を中心に世界中でシェアを拡大しています。

この急成長の背景として、政府主導の研究開発への投資、インフラの発達による生活水準の向上(消費者の購買意欲の増加)が挙げられます。特に、後者がテクノロジー企業へ与える影響力は大きく、新興国においても高品質・高単価製品への需要が高まっています。

したがって、海外進出を通して日本企業の高品質製品・技術を新興国市場に供給する機会は増加すると考えられます。

参考資料

※3   世界の製造業「中国」

③日本企業の技術力

競争が激しい日本市場で生き残っている日本企業は、世界に通用する技術力を持っている可能性が高いと言えます。その要因として、日本企業の品質に対する意識の高さが挙げられます。

弊社では、過去に世界各国で製造業に従事する日本人の方に、日本の製造業の品質について海外企業側の見解をインタビューしました。記事へのリンクは下記をご参照ください。

2020.03.05
中国進出における人件費以外のメリットを工場運営者に取材
今回は世界の製造業インタビュー企画です。本企画の目的は、実際に海外に事業展開している製造業事業者の方にインタビューを行い、日本の中小製造業の世界進出に役立つ情報をお届けすることです。 第1回目の今回は、中国の広東省で絞り加工、精密プレス品の…
2020.03.13
受託加工業でフランスに進出した方法を取材【後編】
今回は世界の製造業インタビュー企画です。第2回目後編の今回は前回の記事に引き続き、切削部品加工受託業でフランスに事業展開を果たした、株式会社ダイショウの石塚社長へのインタビューをお届けします。後編の今回は、 「フランスに事業展開を考える企業…
2020.04.02
販売代理店開拓のプロに海外で自社製品を売る方法を取材【前編】
今回は世界の製造業インタビュー企画です。第3回目前半の今回は、メーカー勤務時代にベトナムに赴任し自社製品を現地に売り込む仕事をされていたブルーイノベーション株式会社経営戦略室の田中さんにインタビューを行いました。前編の今回は、 「ベトナム現…
2020.06.04
アメリカ在住の品質管理コンサルタントに翻訳の重要性を取材【後編】
今回は世界の製造業インタビュー企画です。第4回目後半の今回は前回の記事に引き続き、アメリカのロックウェルオートメーション株式会社で品質管理のコンサルタントとして働く津吉政広さんにインタビューを行いました。後編の今回は、 「アメリカ企業の品質…

海外進出のメリット

次に、海外進出の4つのメリットを解説します。

海外Webマーケティング

①販路拡大

海外進出により、国内の既存の顧客に加えて、海外の新規顧客や取引先を増やすことができるというメリットがあります。先にも述べたアジアをはじめとする新興国市場の急成長を考慮すると、販路開拓のメリットは今後さらに大きくなると予想されます。

また、複数の国に顧客、取引先を持つことで、一つの供給先に依存しなければならないリスクを軽減させることにもつながります。

②コスト削減

海外に工場を設置し、現地の労働力を利用することでコスト削減を達成することができます。加えて、製品の製造、加工に必要な原材料を現地で調達することで輸送コストを削減することも可能です。

また、外国企業向けに税制優遇をしている国に進出することで、日本よりも安い税率を利用してコストを削減することも一つの方法です。

③製品・サービスの専業化

一般に市場規模の大きさと専門性をもったサービスに対する需要の大きさは比例します。つまり、日本国内では専門的すぎるため需要が見込めなかった製品・技術も、商圏を広げることで十分な需要が見込める可能性があります。

日本企業の専門性の高い技術力は、世界市場の中でこそ真の力を発揮するとも言えます。

④人材育成

海外進出という事業を通して、自社の人材を育成できるというメリットもあります。海外とのコミュニケーションや書類作成、交渉の経験を重ね、グローバルに通用するビジネススキルの向上、自社独自のノウハウの蓄積が可能です。

社員の語学力向上、モチベーションの向上といった副次的なメリットも期待できます。

海外進出のデメリット

次に、海外進出の4つのデメリットを解説します。

①金銭コスト

1つ目は、海外進出のための準備コストです。

  • 情報収集コスト(例:市場調査費、現地調査のための渡航費、人件費)
  • Webサイト関連コスト(例:海外販路開拓用のWebサイトの構築、運用費用、現地語への翻訳コスト)

が挙げられます。

2つ目は、現地で事業を開始するためのコストです。

  • 海外法人設立費用(例:事務所を作成し登記するための事務費用)
  • ビザ発行費・ライセンス費(例:現地での労働ビザ発行費用、業種によってはライセンス費)
  • 事務所家賃(例:事務所を賃貸で借りる場合に発生)

が挙げられます。

②政治的不安定さ

進出先の国における政治的不安定さにより企業がマイナスの影響を受ける場合があります。例えば、政治的不安定さを引き起こす要因として、以下のようなものが挙げられます。

  • 政権交代による進出企業に対する扱いの変化
  • 戦争や内乱に伴う政治の不安定化
  • 日本との外交上のトラブル
  • 反日感情による製品・サービスへの影響

③為替変動

外貨を円貨に換算する為替レートによって受取円貨額、支払円貨額が変動することで企業が損失を被る場合があります。

例えば、2016年にイギリスの国民投票でEU離脱派が勝利を収めました。当時の世界の投資家はユーロやポンドへの信用を疑い、極東のお金持ちの国である日本(2015年末で日本の対外純資産は25年連続世界トップ)へと投資先をシフトしました。

結果、日本の輸出産業は急激な円高により大きな打撃を受けました。このように、海外に進出し日本国外と取引を行う際は、世界規模の経済の動向により、損失が生じる場合があります。

ただし、為替変動はメリットにもなり得ることも留意してください。(先の例では、日本の輸入産業は円高の恩恵を受け、好調に転じたことも事実です)

④文化・宗教上の問題

対象国の人々の文化や宗教が持つ違いによって発生する諸問題もデメリットの一つとして挙げられます。消費者の好みやニーズは国や地域によって異なるため、海外向けの商品マーケティングを行う際は、対象国の人々の文化や宗教に対する配慮も欠かせない要素になります。

日本企業の海外進出国

続いて現在、日本企業が進出先に選んでいる企業を紹介します。下の図は、日本企業が今後事業拡大を図る地域をアンケート調査した結果です。

海外で事業拡大を図る国・地域(上位15カ国・地域)

出典:2020年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査(ジェトロ海外ビジネス調査)

上の結果から、多くの日本企業がアジア地域の国に進出を考えていることが分かります。また、上位5カ国の地域に進出する理由として下記が挙げられます。(弊社で行った調査の結果を参照しています)

詳しくは、下記の記事をご参照ください。

1位 中国

2020.12.09
【2022年版】中国の製造業(中国製造2025・主要産業・進出している日本企業)
今回は「中国の製造業」を紹介します。 新型コロナウイルスによるパンデミックの起点となってしまった中国ですが、現在は世界の中でもトップクラスの速度で経済の回復を見せています。今回は、その中国の製造業の現状と今後を進出する日本企業の視点から掘り…

2位 ベトナム

2021.05.13
【2022年版】ベトナムの製造業(主要産業・進出している日本企業)
若い年齢の人口が豊富なベトナムは、労働力に長けており、製造業の進出を考えている企業も多いのではないでしょうか。 今回は「ベトナムの製造業」の実態について紹介します。ベトナムへの進出を検討している方や、ベトナムの製造業の現状を知ることができま…

3位 アメリカ

2026.06.19
【2026年版更新】アメリカの製造業(主要産業・進出している日本企業)
2026年現在のアメリカ製造業は、単なる「大市場向け生産拠点」ではなく、半導体、航空宇宙、防衛、蓄電池、電力機器といった、米国政府が重点支援する戦略産業群の中心に位置付けられています。人口は3億人超の巨大市場であり、現政権は通商政策を安全保…

4位 タイ

2020.02.13
【2022年版】タイの製造業(主要産業・進出している日本企業)
前回の記事ではASEANのハイテク産業の拠点である「2020年の製造業「マレーシア」」について紹介しました。今回はASEAN諸国の中でもマレーシアに次ぐGDP増加率(4.1%)で成長するタイの製造業について紹介します。(出典:ASEAN K…

5位 台湾

2026.09.18
【2026年版更新】台湾の製造業(主要産業・進出している日本企業)
台湾の製造業|主要産業・経済の特徴・進出している日本企業を解説 台湾は、半導体・電子産業を中心に世界のサプライチェーンを支える重要な拠点です。AI関連需要の拡大が日本企業の事業機会を広げる一方、水・電力の確保や人材不足、地政学リスクへの対応…

まとめ

本記事では、以下の内容を解説しました。

  • 製造業が海外進出するべき3つの理由:①日本市場の縮小、②新興国の急成長、③日本企業の技術力
  • 海外進出のメリット:①販路拡大、②コスト削減、③製品・サービスの専業化、④人材育成
  • 海外進出のデメリット:①金銭コスト、②政治的不安定さ、③為替変動、④文化・宗教上の問題
  • 日本企業の海外進出国:1位 中国、2位 ベトナム、3位 アメリカ、4位 タイ、5位 台湾

自社の海外進出の判断を決める上で、本記事の内容を参考にしていただければ幸いです。

弊社(テクノポート株式会社)では、BtoB企業向けに「海外向けWebマーケティング」を支援しています。

この記事の執筆者

テクノポート株式会社 代表

徳山 正康

徳山 正康

製造業専門のデジタルマーケティング事業を手がけるテクノポートの代表を務める。「技術の“伝わらない”をマーケティングで解決する」を経営理念に、これまでに数名の町工場から東証プライム市場に上場しているメーカーまで、累計1,200社を超える製造業を支援し、数多くの企業の新市場開拓や技術の用途開発を実現。

グロービス経営大学院(MBA)卒業、(社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 フェロー、(社)Reboot 理事、(社)Glocal Solutions Japan 認定専門家

【寄稿実績】
間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(MONOist)
精密板金企業が「Webでの引き合い」を売上につなげることができた、たった一つの理由(ビジネス+IT)
製造業のSEO対策を基礎から解説、「加工事例」が超重要なワケとは(ビジネス+IT)
製造業の「技術マーケティング」戦略、事例で読み解く自社技術の可能性を広げる方法(ビジネス+IT)

製造業1,200社超の支援で培った勝ちパターンを無料公開

製造業1,200社超の支援で培った
勝ちパターンを無料公開

無料で資料
ダウンロード

製造業マーケティングのプロに無料で相談したい方はこちら

製造業マーケティングのプロに
無料で相談したい方はこちら

無料で
相談する

無料相談・お問い合わせ

無料で相談する 050-3161-5629

電話対応:平日9:00~18:00

※土日祝日は対応致しかねます

資料ダウンロード

料金表やサービス資料、戦略ガイド・
調査レポートをダウンロードいただけます。
※営業電話は致しませんのでご安心ください。

ダウンロードする

メルマガ登録

製造業の営業・
マーケティング担当者に役立つ
実践的な情報を定期配信しています。

無料で受け取る